『市場・道徳・秩序』読了。補論は明治官僚制をめぐる話。やっぱり福澤が中心の本でしたね(福沢の章だけ読むのもアリだと思う)。
おまけに『誇り高き市民』も読了。ルソーの伝記的事実を検証しつつ、思想形成を丹念に追っている。ルソーについて知りたい人には、かなりおすすめ。「ジュネーヴ市民」としての古典的共和主義への畏敬の念、感情が先走りすぎる性格(感受性の称揚、イタリア音楽、旋律の評価)、女性関係に奥手で自意識過剰(自伝文学、散文)、さらにパリ社交界への反感(学問批判、ヴォルテールとの不和)、音楽家としての出発点、これらがルソーの理論的独自性を導いた。

誇り高き市民―ルソーになったジャン=ジャック

誇り高き市民―ルソーになったジャン=ジャック

あと小ネタでは、「むすんでひらいて」はルソーの作品ではない、ルソーのオペラはルイ15世とポンパドゥール夫人に大ウケした、ルソーの子捨ては当時としては一般的、などなど。7月は30本。