「戦後レジーム」って何よ?

長崎で安倍が話している顔がテレビで映っていた。「戦後レジームからの脱却」とか言う人にとって、原爆投下ってどういう意味を持っているんでしょうね。前に「週刊プレイボーイ」で宮崎哲弥が指摘していたとおり、久間失言をめぐる社会的反応をみても、このところの反米意識の高まりを背景として、原爆投下に対する否定感は強まりつつある。もちろん左翼運動的に「絶対平和」は動かせないポーズだったわけだが、むしろリアルポリティックスの視点からも「原爆はアメリカの無茶」という歴史感覚が生じていると思われる。「原爆投下のおかげで日本は分断を免れた」という人もあり(久間だが)、それはそうなのかもしれないが、戦後国内勢力における社会主義共産主義シンパの存在を考えても、原爆でたくさんの人が亡くなるのに比べたら国内が分断される(北海道がなくなる)ぐらいどうってことないんじゃないの?と考えられないわけでもない*1。実際、北朝鮮は「地上の楽園」だと信じていた人が普通にいたわけだしさ。
そう考えれば、「戦後レジーム」からわざわざ脱却しなくても、もうすでにそれは「失効」しつつあると見た方が正確かもしれない。未成熟で偽善的な左翼的ポーズ、という江藤淳的な物言いがあるとすれば、どう考えたって「親米愛国」にしか見えない安倍ちゃんの方が、現在は逆にアメリカが作った「戦後レジーム」を前提しているおバカちゃん、ということになってしまう。まあ、そこまで考えてないか。安倍ちゃんは。
それにしても政権発足時、櫻井よしこと対談してまで安倍ちゃんを誉めちぎっていた福田和也が、最近は文芸ネタにばっかり逃げて、自分の見誤りを反省する素振りを見せないのが、「無頼」にあるまじきことなんじゃないの?と最近しきりに不満である。宮台センセはちゃんと「援交少女はやっぱり傷ついていた。マッタリしてたんじゃなかった」って修正したぞ*2

*1:喜んだ人だっていたんじゃないの?ということ。

*2:このくだりは福田和也がかつて宮台のことを「養命酒しか飲めないくせに!」とケナしていた文脈を念頭に読んでね。