吉田喜重『煉獄エロイカ』(1970)

(118分・35mm・白黒)戦後革命運動の中で挫折を強いられた男が、妻の連れてきた少女や昔の同志との対面を通じて、その“亡霊”に直面させられる。山田正弘は『エロス+虐殺』や『告白的女優論』に至る、挑発的な吉田喜重作品を形作った脚本家で、現代詩の詩人でもあった。
’70(現代映画社=日本アート・シアター・ギルド)(脚)山田正弘(出)武内亨(清靖夫)(監)(脚)吉田喜重(撮)長谷川元吉(美)山口修(音)一柳慧(出)岡田茉莉子、鵜田貝造、岩崎加根子、木村菜穂、牧田吉明、筒井和美、佐伯赫哉、松野健一、遠藤剛、大林丈史森下哲夫

「おはようございます」って感じの映画で、よく眠れました。って、独特な映像でフィルムの魅力は十分だったけど、むずかしすぎてぼくにはよくわかりませんでした。1952年の革命の挫折、1970年現在、1980年の未来が出てくる。四方田犬彦氏によると、「吉田は松竹を離れると、『エロス+虐殺』(一九七〇)、『煉獄エロイカ』(一九七〇)、『戒厳令』(一九七三)といった作品で、過去、現在、未来の時空を自在に見通す視座に立ちながら、日本近代史に現れるエロスとテロリズムの結節点の探求を行なった」(170)とのことだが、こんな高尚なこといわれても、ちょっとねえ。エロもテロも、あったんだっけ?という感じ。実験映画もここまで来ると理解できない。でも他の作品も観てみたいとは思う。