マキノ雅弘『丹下左膳 乾雲の巻』(1956)

(82分・35mm・白黒)かつて大河内傳次郎と共に丹下左膳の人気を定着させた伊藤大輔が監督に予定されていたが、撮影プランが大掛かり過ぎて降板。マキノは、右眼右腕の欠損した丹下左膳の役に、左利きの水島道太郎を得て、道場破りのシーンでは左膳が持つ道場の看板に、分厚く重い本物のケヤキの板を使用したという。
'56(日活)(原)林不忘(脚)棚田吾郎、関喜譽仁、内田一作(撮)永塚一榮(美)小池一美(音)鈴木靜一(出)水島道太郎、河津清三郎南田洋子月丘夢路坂東好太郎澤村國太郎金子信雄フランキー堺、利根はる惠、植村謙二郎、堀恭子

まずまずだが、水島の丹下のキャラが定まっていないのと、二刀の妖刀が離れてからの展開がのろい。というか共同体的・情緒的ノリで魅せるマキノ映画にとって、丹下左膳みたいな強烈キャラを描くのは向いていないのかも。男女の描写は良かった。