マキノ雅弘『丹下左膳 昇竜の巻』(1956)

(79分・35mm・白黒)妖刀に呪われて、血に餓えた獣の如く無益な殺傷を重ねた丹下左膳(水島)は、お藤(月丘)と共に死者の霊を慰めていた。ところが、隠遁しているふたりの背後に捕方たちが迫りくる…。元々、『乾雲の巻』『坤竜の巻』の二部作であったものを急遽三部作に変更し、本作『昇竜の巻』を新たに創作した。
'56(日活)(原)林不忘(脚)棚田吾郎、関喜譽仁、内田一作(撮)永塚一榮(美)小池一美(音)鈴木靜一(出)水島道太郎、河津清三郎南田洋子月丘夢路フランキー堺坂東好太郎金子信雄、植村謙二郎、利根はる惠、堀恭子

迷ったが観た。無理して観なくて良かったかも。
淡々としんみりしたシーンが描かれ、主要人物が次々と死ぬ。最終的な破滅を予感させつつ、それを引き延ばしながら、悲哀の雰囲気を盛り上げるマキノの腕はさすが。とはいえ、明らかに引き延ばしすぎ。三部作に変更する過程で無理やり水増ししたのかもしれない。でも、丹下左膳の凄みは極まったものがあった。