マキノ雅弘『浪人街』(1957)

(110分・35mm・白黒)『酔いどれ八萬騎』(1951年)に次ぐ、『浪人街 第一話 美しき獲物』(1928年)2度目のリメイク作品で、断片フィルムしか現存しない伝説のオリジナル作品を知るうえでも貴重。女の命を救う為、母衣権兵衛(藤田)、荒牧源内(近衛)の浪人ふたりが、旗本衆の待ち受ける“子恋の森”へと駆けつける。浪人仲間の赤牛弥五右衛門(河津)は、金に吊られて旗本に助太刀していたのだが…。
'57(松竹)(原)山上伊太郎(脚)村上元三マキノ雅弘(撮)三村明(美)進藤誠吾(音)鈴木靜一(出)近衛十四郎河津清三郎、藤田進、高峰三枝子、水原眞知子、山鳩くるみ、北上弥太郎、竜崎一郎

黒木和雄の作品も見たが、チャンバラ映画という点で、マキノの方が素直に楽しめてよい。ストーリーがかなり複雑だなぁと改めて思った。男に惚れている女たちが随分描かれ、若干中だるみ感もあるのだが、それもラストのチャンバラ・カタルシスに向けて真っ直ぐに突き進んでいく。赤牛(河津)が裏切り、背後から旗本勢を切りつけるシーンは、最高に面白かった。奇妙な団結に殉じて男たちは死んでいく。お馴染みのマキノ流美学。