チョン・ミョンフンのブルックナー7番

第1613回定期公演 Aプログラム
メシアン/キリストの昇天
ブルックナー交響曲 第7番 ホ長調
指揮|チョン・ミョンフン

チョン・ミョンフンN響を振るということで、第九演奏会で散々な思いをした私も、期待に胸を高鳴らせて会場へ。
メシアン/キリストの昇天(L'Ascension)」は、まさにチョン・ミョンフンパリ・オペラ座バスティーユ歌劇場)のCDで愛聴していた曲。「カトリック信仰の真理の現存」をモチーフとしていたメシアンは、今年で生誕百年。敬虔さとともに感覚的な響きが特徴のこの曲だが、N響の鳴りが美しく好ましく、指揮者のカリスマ性を感じさせた。素晴らしい。
大きな期待を持ってブルックナーへ。第一楽章が途轍もなく素晴らしかった。想像を超える時間の流れと旋律美。こういう体験を期待しにN響に来ても、これまでそれが実現することはなかった。今日はそれが実現したように思う。
第二楽章はややぼやけた印象であったが、それはブルックナーのせいか、こちらの準備不足のせいだろう。ワーグナー葬送の美しい旋律を堪能したいと期待していたが、残念だった。でも第三楽章、第四楽章と、全体として休符のコントロールが見事な、素晴らしいブルックナーだった。