ロマン主義の二面性についての覚え書

その本質を「意思の必然性と事物の構造の欠如」(205)の二原理に求めるBerlinのロマン主義評価は両義的なものである。「あらゆるものは芸術のルールに従うべきである」との「美学的モデルを現実に押しつける試み」は抑圧的側面を持つ(ファシズムの「予測しえない意思」の称揚)。しかし「人間にかかわる事象についての統一的な解答」の拒否こそ、ロマン主義の出発点にほかならない。多元性と抑圧性との二重性。「彼らは自分で仕掛けた罠に陥ったのだ」(225)。