坪内祐三の悪口

文藝春秋』の「人声天語」で、坪内祐三松方弘樹について書いていた。何でも浅草でマキノの『日本やくざ伝・総長への道』(1971)を見たらしく、<もしこれが予定どおりシリーズ化されていたら、『仁義なき戦い』(1973)で松方が個性を確立することはなかっただろう。1972年という時代の境目に、役者人生の転機を迎えた人がここにいるよ。>というのがエッセイの大意。
しかし坪内が<『日本やくざ伝・総長への道』に引き続く作品で「松方の成長物語」が予定されていたのだろう>と推論しているのには「えらくいい加減なことを言うなぁ」と呆れ果てた。マキノのシリーズ作品は、必ずしも物語的な連続性を持たない。ツボちゃんはマキノのDVDを買ったことを自慢したくて、一知半解のマキノ通を気取ってみせたようだ*1
スパの対談を読んでいても、どうも坪ちゃんは最近芸が荒れているように感じる。一方、福田和也に安定感があるのは、やっぱり基礎教養の差だろうかね?

*1:この文章はぼくがマキノ通であることを意味しない。