クラシックのメモ

これがすごく良かった。録音の質も素晴らしい。

それと最近、ドイツ語への親しみが飛躍的に増しているので、声楽曲をよく聴いている。白黒映像で見ていたのが、いきなりハイビジョンになったくらいの衝撃度があって、なんで今までドイツ語を勉強しなかったんだろう、と後悔の念に駆られる*1
こないだもリヒターの「マタイ受難曲」を聴きなおしていたら、同時に読んでいた吉田秀和『世界の指揮者』が面白かった。

劇のアクセントの、もう一つの重点は、ペテロの裏切り(鶏が鳴く前に、彼は三度イエス使徒であることを否定する)にある。これも作品が、すでに、そこに大きな比重をおいているからだが、演奏も、ここでは哀痛――いや峻厳でしかも悲痛――を極める。第四五番のレチタティーヴォ。福音史家と、三人の告発者とペテロの否認の交錯。そのまま第四六に入っての終り、「ペテロは外に出て、さめざめと泣いた」。この演奏で、胸をつかれないとしたら、その人はもう音楽をきく必要などまったくない人である。

吉田秀和宇野功芳みたいなこと言うんだなぁ」と面白かったが、まあそうも言ってしまいたくなるのも、分からないではない。バッハが偉大なのである。

世界の指揮者―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)

世界の指揮者―吉田秀和コレクション (ちくま文庫)

*1:大学生のとき、フランス語を選択したまでは良かったが、その次に中国語を選んでしまった。当時は、中国の時代がくるか、とも思っていたのだが、どう考えてもその前にドイツ語だわな。