衣笠貞之助『月形半平太[パテベビー短縮版]』(1925)

(14分・16fps・35mm・無声・白黒)
小説家・直木三十五が奈良に設立した聯合映画芸術家協会の第一回作品。新国劇沢田正二郎が、幕末の志士・月形を演じる。沢田の多忙なスケジュールの合間を縫って、衣笠は不眠不休でわずか8日間のうちに撮影を完了した。本プリントは9.5mmパテベビー版として再編集がほどこされた短縮版。
'25(聯合映画芸術家協会)(監)衣笠貞之助(原)行友李風(脚)古間礼一(撮)宮崎安吉(出)沢田正二郎、原清二、二葉早苗、春野歌子

フィルムセンター。思いっきり倒幕派寄りの視点。
殺陣が凄い。「春雨ヂャ、濡れてゆこう」みたいな字幕(雛菊へのセリフ)や、月形が舞妓に形見の品を渡すシーンなど、情緒的で感傷的な雰囲気も良い。それにしてもラストの斬られ方が何とも凄絶。割腹したあと、血で襖に字を書いていた。恐っ。