アラステア・フォザーギル、マーク・リンフィールド『アース』(2007)

EARTH ドイツ・イギリス合作映画 1時間38分 監督: アラステア・フォザーギルマーク・リンフィールド ナレーション 渡辺謙
46億歳の地球……氷の地から、熱帯の森、深海におよぶ壮大な神秘と美しさに溢れるこの星の、ダイナミックな光景、奇跡的瞬間、究極の命のドラマをカメラに収めた史上最大のドキュメンタリー!!

北極から南極まで、珍妙な動物、壮大な自然など、不思議な事物、情景が映し出されている。中高生用の地理教材にはもってこいの映画だろう。ツンドラ地帯にイヌとネコの合いの子みたいな、すばしっこい小型動物が生息していて、かわいらしいもんだと思った(タヌキかキツネに近い生き物だろう)。
他にも、熱帯で求愛する鳥、猿、ヒマラヤを越えるツル、ゾウ、オットセイ、それを喰うホオジロザメ、クジラ親子など、たくさんの動物が出てくる。見たことのないような滝とか、タイガとか、地球には凄い場所が色々あるもんだと驚く。
しかし見ていて「嘘くさいなぁ〜」と思う場面も多々あった。「クジラのお母さんはお腹がペコペコです。熱帯には餌がないのです。エビを食べにはるか南極まで移動しなくてはいけません」とか、「ゾウの群れは喉がカラカラです。砂嵐で目つぶしにも遭いました。水飲み場でライオンに睨まれています」とか、状況説明が妙に「人間中心主義」に偏っていて、これは「人間的尺度に合せないと生き物の尊さがリアルに感じられない欧米人の偏見」が入ってるんじゃないかな〜と思った。本当にそうなのかもしれないけど。
「冬眠から目覚めたシロクマは陸地に移動します。でも、氷が薄くて大変です。海を泳いで体力を消耗したシロクマは疲れ果て、やむなくトドを襲いましたが、鋭い牙の反撃にあってとうとう死んでしまいました」みたいな物語も語られていたが、もちろんこれは環境問題への訴えを含んでのことである。ただこれも「本当にそうかな?」と思った。地球温暖化の原因をきちんと調べないと、たとえばシロクマが絶滅したとして、それはナウマン象が絶滅したのとどう違うことなのか、本当のところは分からない。