N響マーラー5番を聴きに行く選択肢もあったのだが、「つまらない演奏だろう」と勝手な予想をして、行くのを止めにした。でも涼しくなってきたらやっぱりクラシックを聴きたくなる。最近は、プロコフィエフ「古典的交響曲」がカワイイ曲だと思った。
NHKスペシャル「戦場 心の傷(1)兵士はどう戦わされてきたか」を見て、とても衝撃的だった。「発砲率」が25%という調査結果を受けて、アメリカでは軍事訓練の方式が決定的に変化させられたのだという。しかし結局、人は人を殺せないし、人間の精神はとても脆い、というのが事実なのだと思う。「人間の精神の脆さ」を「可塑性」と読み替えて、アメリカ軍は学習プログラムを高度化させているわけだが…。

泥沼化する米軍のイラク駐留。激しい戦闘ストレスから前線を離脱する兵士が続出し、帰還兵たちはPTSD心的外傷後ストレス障害)を発症している。米軍は、最新の医学知識を総動員し、兵士の心のケアに追われている。戦場の兵士を襲う「殺される恐怖」と「人を殺す恐怖」。極限状況における人間心理を、国家はあらゆる角度から研究し、人間を戦闘マシンに近づける方法を模索してきた。初めて大量の市民が戦場に動員された第一次世界大戦では、精神に障害を負う兵士が続出。医師たちは電気ショックを与えるなどして戦場に送り返す「実験」を行った。また、第二次大戦で「敵に発砲できない兵士」が広範に存在することをつきとめた米軍は戦後、訓練法の改善を重ねることで、条件反射的に発砲できる兵士たちを作り出す。しかし、彼らが従軍したベトナム戦争では、日常生活に復帰できないPTSD患者が大量発生した。/兵士を戦場で戦わせるために、人類は何をしてきたのか。番組では、20世紀の戦争史をひもときながら、「兵士の心が壊れる」というもうひとつの悲劇を描く。