イ・チャンドン『シークレット・サンシャイン』(2007)

密陽 / SECRET SUNSHINE 韓国 142分 監督・脚本 イ・チャンドン 出演 チョン・ドヨンソン・ガンホ/ チョ・ヨンジン/キム・ヨンジェ/ソン・ヨンジョブ/ソン・ミリム/キム・ミヒャン カンヌ国際映画祭女優賞受賞(チョン・ドヨン)/パルムドールノミネート
幼い息子とふたり、ソウルから亡き夫の故郷である地方都市・密陽(ミリャン)に移り住んだシングルマザーのシネ。不器用だが面倒見のいい地元の男ジョンチャンは彼女に好意を寄せるが、まったく相手にされない。/ある日、シネは最愛の息子を誘拐されてしまう。誰が、なぜ…?悲しみのどん底に突き落とされるシネ。ジョンチャンが差しのべる優しさも拒否し、苦しむシネはやがて別の救いを求めるが…。……(早稲田松竹HP)

すごい作品で、わけがわからなかった。つまるところ、韓国人という存在が謎なのだと思う。韓国社会におけるキリスト教信仰がディープに描かれ、本当にいろいろと考えさせられるのだが、最終的に作品はホラー映画化していって、これにもえらく混乱させられた。ゴーッという音が聞こえ出すと、主人公の気が狂いだし、刃物をチラチラさせるシーンとか、突然ガラスに石が投げつけられるシーンとか、背筋がゾッとする場面がたくさんある。そんななか、明らかに俗物であるソン・ガンホが奇妙な安定感を醸し出していて、そのことの意味について、これから考えていく必要がある。