ジャン・ルノワール『ゲームの規則』(1939)

原題 La Regle du Jeu 監督・脚本 ジャン・ルノワール 撮影 ジャン・バシュレ 音楽 ロジェ・デゾルミエール 美術 ユージーン・ローリー キャスト マルセル・ダリオ、ノラ・グレゴールChristine、ローラン・トゥータン、ジャン・ルノワールOctave、ミラ・パレリー

ゲームの規則』は、二つの複雑な恋愛関係の交錯をあつかっています。ひとつは、物語が展開する城館の持ち主である侯爵とその夫人、そして、侯爵夫人に恋する飛行士と、その飛行士の友人という、女ひとりに男三人の四角関係です(ここに侯爵の愛人もからんできます)。もうひとつは、侯爵夫人の小間使とその夫、そして小間使いに横恋慕する召使の三角関係です。しかも、小間使の夫は異常に嫉妬深いうえに、職業は密漁監視人であり、小間使に手を出す召使は密猟者ときているから、じつに始末が悪い。この二重のドラマが、狩猟会と仮装舞踏会で衝突し、大混乱はとうとう殺人事件に発展します。中条省平『フランス映画史の誘惑』112)

かなりややこしい話で、自分のIQでは理解するのが難しかった。中条によると、「この世界に恐ろしいことがひとつある。それは、すべての人間の言いぶんが正しいということだ」という「映画史に残る…名セリフ」が、この人間喜劇の「原理」となっており、「だれもが正しいということは、だれもが正しくないということ。善と悪がポジとネガのように反転しあいながら、ドラマは織りなされてゆきます」ということらしいのだが(113)、『大いなる幻影』などと比べても、物語的な理解というよりは、感覚的な理解が要求されるので、よっぽど作品世界に入り込めないとなかなか難しい。
それでも瑞々しい美しさを感じるシーンはたくさんある。かわいいウサギがパンパン撃たれていく狩猟の場面がすごいと思った。仮装舞踏会で骨骨ロックみたいな格好の人が(まったく個人的に)面白かった。