ちょっとだけカラオケ。TRFなど歌ってみる。寒い夜だから。小室サウンドっていうのは、歌詞も含めて、妙ちきりんだと思う。
宮下誠カラヤンがクラシックを殺した』(光文社新書)。著者自身の躁鬱気質が丸出しになった異様な本だが、20世紀の精神的文化的危機をめぐり、本質を突いた鋭い指摘が楽しめる。クラシック音楽は、古典的調和世界の破綻に際して、作曲家の誇大妄想と自己矛盾、救済の希求とその拒絶など、苦悩の表現であり続けたが、19世紀的なアウラを信憑できたフルトヴェングラーとは異なって、カラヤンは大衆と結託することで、20世紀精神文化の方向性に有力な解答を与えることとなった。その功罪が、クレンペラーとケーゲルを一方に配しつつ、語られる。こういう狂気を孕んだ人は私は大好きなのだが、許光俊などと比べてみても、ちょっと粘着質な所があって、少し怖い気もする。面白いからいいんだけどね。
久々にクレンペラーを聴いてみたのだが(『ミサ・ソレムニス』、シューマン)、マーラーなどを聴いていると「これはもう世界の終わりだな」という気持ちに本当になってくる。寒気がする。私ももともとクレンペラーは好きなのである。

カラヤンがクラシックを殺した (光文社新書)

カラヤンがクラシックを殺した (光文社新書)

ついでに最近読んだ本も。アタリ『21世紀の歴史』(作品社)。海賊の跋扈、超監視体制の制度化、超紛争の日常化…といった未来予測はたんなる与太話でしかないが、長大な人類史を「宗教・軍事・市場」を軸に整理する手さばきは、いくつかの事実誤認を含みつつも、なかなか見事なものがあった。アタリはサルコジのブレーンになっているらしい。
21世紀の歴史――未来の人類から見た世界

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界