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『グーグーだって猫である』で鼻をグズグズさせていたら、ものすごく映画に感動している人みたいになってしまって、「これってどうなんだろう?」と思ったのだが、まあいいやと開き直って、ここぞとばかりに感動したふりをしてやった(そうやって鼻をかんだ)。今日はチャップリンを見たかったのだけど、風邪がひどくてダルいので、軽めの映画を選んだのだ。
グリーンスパン『波乱の時代 特別版』を読んだ。「百年に一度の危機」と言うわりには、意外と楽観的な印象を受ける。金融資本主義のスキームをどう判断するかが問題なわけだが、グリーンスパンは計量経済モデルが現実に比して単純すぎる問題点を指摘している。「分散投資によってリスクを低減できるという定評ある理論」(35)についても、「陶酔」と「恐怖」の二局面に分割したモデルの精緻化が必要だというわけだ(逆にいえばモデルのマイナーチェンジだけで十分対応可能だということだ)。要するに、市場主義への信頼はきわめて厚く、グリーンスパンはむしろ、保護主義への退却にかなりの警戒感を示していると言ってよい*1。
グリーンスパンによると、冷戦後のディスインフレ圧力(途上国の市場経済化・5億人の労働力の参入・グローバル化→インフレ率低下・長期金利の低下→資産価値の上昇→サブプライム)の流れはあったが、中国ではインフレ化の傾向が見られ、このディスインフレ局面はまもなく終了する(自前の石油だけでは賄えなくなったから?)。ディスインフレさえ阻止されれば、バブルは起こりにくくなるのであり、だからこれまでのように市場への信頼は基本的に有効なのである。日本のバブル崩壊の失敗から学んで、不動産価格の下げ止まりを待って評価損を確定すれば、信用収縮には歯止めがかけられる。「百年に一度」というのは、銀行業界と証券業界がともにポシャって、金融の仲介機能が破綻した点を見ているみたいだった。
- 作者: アラングリーンスパン,Alan Greenspan,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2008/10
- メディア: 単行本
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