森崎東『時代屋の女房』(1983)

主演:渡瀬恒彦夏目雅子津川雅彦中山貴美子趙方豪大坂志郎初井言栄藤木悠 藤田弓子朝丘雪路
古道具屋“時代屋”を営む安さんのところに、謎の美女・真弓が現れる。一切の素性を語ろうとしない真弓を安さんは快く受け入れ、やがて二人は夫婦のように生活していく。しかしある日、真弓が突然姿を消し…。骨董屋を経営する中年男と謎の美女を中心に、東京のはずれに住む人々の生活を人情味ゆたかに描く。原作は村松友視直木賞受賞作。(CV)

大井町が舞台。中年男の自己憐憫ムードが気に入らないが、これは村松友視の原作のせいだろう(大森が舞台の黒木和雄泪橋』と同じ)。とはいえ、渡瀬にしろ、津川にしろ、悪くはない。津川雅彦の怪しさ満点の大阪弁など、とくに素晴らしかった。飲み屋で近所の人たちが集まるシーンがよい。
お目当ての夏目雅子だが、えらく儚げな人だった。必ずしも十分に魅力が出ているとは思わなかったが、歩道橋から太陽の光を浴びて帰ってくるシーンなんか、グッときた。ベッドシーンも切なげだった。