ターセム『落下の王国』(2006)

THE FALL 1時間58分 出演 リー・ペイス、カティンカ・アンタルー
大けがで入院し自暴自棄になったスタントマンの青年は、腕を骨折した少女にある目的のため、気を引く思いつきの冒険物語を聞かせ始めるが、やがて≪二人の物語≫は2人に希望をもたらす壮大な物語となり……構想26年撮影4年をついやしたターセム監督の極彩色の王国!! (GH) http://www.rakka-movie.com/

ベートーベン交響曲第7番に合わせて、橋、川、汽車、馬が映し出される冒頭のシーンが素晴らしい。昔の白黒映画を主題としつつ、ハイパーリアルな水のうねりが精細に把捉される。重厚な7番のメロディーと相まって、異様な感覚に襲われる。
ファンタジックな古代史風物語で、アレクサンダーという少女の豊かな表情も、見ていて面白い。現実とファンタジーの往還は、設定として物足りなさを感じたが、光り輝く砂漠や鏡のような水面の映像、やたらと出てくる落下の運動など、未知の刺激に富んでいる。