『ばかもの』の感想

「「ばかもの」の魅力は圧倒的なものです。しばらく何も出来ない、話すどころか考える事も出来ないほどの感慨に浸りました。人間の美しさを描いて、ここまで説得力のある小説はないでしょう。」(文芸評論家 福田和也氏)
すごい激賞ぶり。
最初はポルノ小説だと思って読んでいたのだが、途中からアル中小説になって、なるほどアル中とはこれほど凄まじいものかと、迫力に圧倒された。文章も素晴らしい。
しかし私はどうも「内省の浅い主人公」というのが苦手で、主人公ヒデのようにあまり深く考えずに泥沼にはまり込んでいく人間をみると、こんなものかなとは思いつつも、ちょっと醒めてみてしまう。まあ、そんなものかな、とは思うんだけどね。早漏の描写とか、年の差カップルの描写とか、細かい所で引っかかる部分もあった。
まあでもアル中の絶望感、荒んだ感じはやっぱり素晴らしかった。心臓が早鐘のように鳴りだしたらマズいわなと共感。

ばかもの

ばかもの