内田吐夢『大菩薩峠 第二部』(1958)

良い。「ぼうや、カアチャンの処へ戻っておいで」。

(105分・35mm・カラー)病身から回復した龍之助が、乱暴な旗本の悪事をきっかけに、再び剣鬼としての魔性を目覚めさせる第2部。この3部作は内田にとって初の色彩シネマスコープ作品となったが、画面をロングにせずに俳優の横の行動を広く取れるスコープの利点を強調した内田に、三木の撮影が見事に呼応している。
三木滋人(監)内田吐夢(原)中里介山(脚)猪俣勝人、柴英三郎(美)鈴木孝俊(音)深井史郎(出)片岡千恵藏、中村錦之助東千代之介月形龍之介木暮実千代長谷川裕見子、加賀邦男、市川小太夫里見浩太郎(朗)、山形勲、星美智子、丘さとみ浦里はるみ

山道を行く籠を襲われ、腕をばっさり斬って撃退したは良いものの、山中で息も絶え絶えの龍之助。子連れの木暮実千代に助けられる。ある温泉郷で養生していた所が悪者の旗本が現れて、血飛沫に魔性が目覚める。旗本の悪巧みで名刀を授けられ、人を斬りたくて仕方がなくなる龍之助。籠に乗せられた化け物の周りを狂気の嵐が吹き荒れる。