『職業としての編集者』

『関東緋桜一家』はサイコーだったが、マキノは『俠骨一代』『昭和残俠伝 死んで貰います』の藤純子が良いといっている。両方とも同じ設定だが、「私としてはかなり愛着のある作品である」とのこと(463)。ぜったい見なくちゃ。
今日はちょっと気合を入れて古本屋をめぐり、吉野源三郎『職業としての編集者』(岩波新書)、清水幾太郎『私の社会観』(角川文庫)を入手できた。吉野の本は神保町を虱潰しに探したが手に入れられず、今日、高田馬場ブックオフで見つかった(早稲田は神保町とは違った懐の深さのある古本街だと思う。ブックオフを含めて。)
吉野の本は題名が悪いのだが、必読の内容。実際、その手の本ではしばしば引用され、見つけたら買っておいて損はない。歴史哲学に身をささげた著者の目は透徹している。「現在、私は岩波書店の責任ある地位から離れ、若いときし残した勉強を少しずつ取り返しているのですが、自分のして来たことをふりかえって、ときどき、たいへんに空しい感じにおそわれています。自分がひそかに意気ごんだほどのことが、実現されたという気にはどうしてもなれないからです。」(31−32)。奥州平泉に津田左右吉の『世界』論文の相談に行った章、原田文書をめぐる章も興味深い。
あるブログでネグリが3月に来るという話を知る。野次馬根性で見に行くのも良いかも。