和田中Nスペ

朝日新聞2月3日「opinion 学校と塾の連携どこまで」について一言。「藤原×藤田」対決であるが、藤原氏の論が一歩優っているように感じた。
教育の社会的機能は、「個人の社会化」「人材の選抜・分配」の二つである。義務教育段階では、前者に「公教育の理念」が含まれる。つまり、市民として適切に行動しうる知識の獲得が、義務教育の重要な役割となる。
だが、「(公教育の理念としての)個人の社会化」と「人材の選抜・分配」とは、時として矛盾対立する。前者が平等公平を志向するのに対し、後者は個別差異化を志向するからだ。とくに高校進学という「選抜」を控えた中学校では、学力差の拡大という事実も加わって、この矛盾が緊張を孕むことになる。
両者が図式的に矛盾する以上、Nスペ問題について論理的な解決策を導くことは不可能であり*1、常識的な判断こそが、むしろ重要になってくる。私は藤原氏のいうように、上位層の「吹きこぼれ」問題は深刻だと思うので、藤原氏の現状判断、およびその取り組みを評価したい。できる子を伸ばしていく仕組みがないと、一国の学術水準の問題とも関わって弊害が大きいと思う。

*1:和田中Nスペ問題には、「公教育の場に営利目的を持ち込まない」という原則に関わる技術的問題も含まれるが、これについては「ボランティア組織「地域本部」の主催」という形で回避されているようだ。したがって残るのはやはり、上記の本質問題ということになる。