マルセル・カミュ『濁流』(1957)

MORT EN FRAUDE(104分・35mm・白黒) 第1次インドシナ戦争中、当時のサイゴン付近の農村で、仏人青年が現地の娘と出逢う。A・アストリュック監督などの下で助監督をつとめたM・カミュは、本作で長篇監督デビューを果たし、2年後には『黒いオルフェ』によりカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞した。
’57(フランス)(監)(脚)マルセル・カミュ(原)(脚)ジャン・ウグロン(脚)ミシェル・オーディアル(撮)エドモン・セシャン(美)ポール=ルイ・ブティエ(音)グエン・フー・バー(出)ダニエル・ジェラン、アンヌ・メシャール、ダン・ヴァン・タン、レ・ティ・ナム、チン・チャック、ジャック・シャンセル、リュシアン・カラマン

フィルムセンター。かなり不思議なフランス映画だった。
文明の国からやってきたフランス人が、仏印の戦場で泥んこになりつつ、逃亡生活をはじめる。ある村に避難するも、村民がイモリだのトカゲだのカエルだのを齧っていて、ゲンナリホーチミンの越軍は仏人狩り、村人からも不信の目で見られている。泥沼を伏せて移動するため、服はいつもビショビショ、熱病の危険も迫る。
さすがフランス映画だと思ったのは、映っているのは不快指数の高いモンスーン地帯なのになんとなくカラッと乾いた気分がフィルムに感じられること。「現地の娘の弟」が良い味を出しており、万年筆をもらって喜ぶ場面がとくに良かった。